特別養護老人ホーム「せんねん村」の施設見学会は、例年より十日も早く開花した桜の花の下、3月24日におこなわれました。参加者は会員など23名(現地集合も含め)。 マイクロバスで「せんねん村」のある西尾市へ、沿道に菜の花畑も見える春うららの知多半島道路から、半田市を経由し、向かいました。訪問の約束は午後1時。意外に早く到着してしまい、少し早めの昼食弁当を、少し行きすぎた吉良吉田港横の海浜公園で食べ、時間調整もしました。 「せんねん村」は、西尾市、吉良町、一色町、幡豆町の一市三町が共同で建設した施設で、市町のちょうど境界のところに立っています。遠くから見ると白い高い塔が、このあたりに広がる田畑の真ん中にツクンと立っていて、少し低い赤い屋根がまわりを囲んでいます。少し場違いなテーマパークででもあるように見えます。 |
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近づくと「大きい!」と声が出そうな敷地、約4000坪もあるそうです。都会の特養を見慣れた私には、「なんと恵まれた」とまずは感じました。 |
建物は、それぞれの施設(特養、ショートステイ施設、デイサービス施設、ケアハウス)が独立した形で中庭の周りに配置され、渡り廊下で回遊できます。いずれも2〜3階建てで、コテージ風の外観です。(せんねん村ホームページ参照) 渡り廊下は、一階にも二階にもあって、二階は空中回廊のようになっています。中庭には小さな池があり、木々がたくさん植えられています。まだ、開設して日も浅い(一年程度)ので木が小さいのですが、十年も経つと夏の日差しをさえぎるほどの緑が茂っているに違いありません。 |
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内装もこっています。木がふんだんに使われて柔らかい雰囲気となっているばかりでなく、広い窓と広い中庭のおかげで開放的で、明るい日の光がさしこみます。村人(入居者をこう呼ぶ)の居室は、全て個室で、あまり沢山ではないけれど個人の持ち物も大きなものも含めてある程度持ち込めるスペースもあります。お風呂は各棟毎にあって、壁で囲まれた個人でのんびり入れる木の風呂もあります。私は、特養を見学したときにいつも必要と感じていた「個人風呂」が実現していました。 |
床は「置き床式」という方式で作られているそうですが、未だに良く理解できません。後で当会の専門家にたずねたところでは、アルミの枠が床下に井桁に組んであり、その上にフローリングの板が載っけてある構造だそうです。そのせいかなんとなくフワフワしているようにも感じました。この床は効果抜群で、骨折などの事故はほとんど起きていないとのことです。 私が「フーム…」と感じたのは、「風の部屋」の存在です。ついの住まいであることは、命の終わりの訪れる場所でもあります。「死は忌むことではない」の中澤さんの想いが、だから村人が共に送ろうとの想いが、いわゆる霊安室を施設の一番良い場所に、中庭の池の畔に置き、誰でもが送れるようにしたというのです。そこは日頃、くつろぎスペースになっています。 |
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特別養護老人ホーム「せんねん村」は、中澤明子さんの夢を現実のものにした、「これまでの制度の下では目一杯のものを作ろう。」その想いが随所に現れているように思いました。今回の施設見学会は、多くのことを学ぶことが出来ました。報告は一回で済むかなと思って筆をとりましたが、どうもそんなわけにはいきません。一回目は施設編、二回目はサービス編、三回目は論議編の三部構成にさせていただきます。 |
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※会員には年6回【地域共生情報】を 送付しています |