DPI世界大会東海プレ大会報告
02/09/

わっぱの会・名古屋市会議員
斎藤亮人

6月30日、DPI(障害者インターナショナル)世界大会東海プレ大会が約120名の参加で
行なわれました。わっぱの会、愛知県重度障害者の生活をよくする会、愛知県重度障害者
団体連絡会、自治労東海地連、医療と保健と福祉のネットワーク東海が実行委員会を構成
して開催されました。

まず障害者をめぐる差別の実態について3人の方から報告がなされました。この報告は
今回の狙いの一つでした。まず現状をしっかり認識することから始めようというわけです。

まず、よくする会で活動する浅野誠一さんが最初に発言され、施設入所における障害者の
実態について話された。朝のおむつ交換をして朝食に間に合わせようとすると朝5時に起き
なければいけなかったこと、週2回の風呂は午前中、夕食は午後3時(現在は少し改善されて
4時という話だ)、消灯は午後8時といった具合で普通の暮らしとはかけ離れた時間が流れる
中で生活をしなければならなかったことを話された。楽しみはテレビやラジオしかないのに、
見られる時間は8時まで、チャンネル操作などは知的障害者の人がまねをするからといって
触らせてもらえなかったという。さらにひどいのは、トイレの時間が決められているというのだ。
だから時間外に頼むのに抵抗があったという。浅野さんはたまに施設に行くのだが、今でも
20から30人が入る大部屋の中で、男性女性が同じでおむつ交換もそこでやっているという
のだ。こんな無茶な実態が現在でもあるのが愛知県コロニーというから驚きである。

次に発言に立ったのは、日本福祉大の学生で、愛知重度障害者団体連絡会で活動をする
辻直哉さん。彼が美浜にある日本福祉大学に電車で通おうとした時、名鉄知多奥田駅は階段
で危ないから利用しないでくださいと言われたという。最初は友人もいないので誰かに手伝って
もらうのだが、駅員に一番前の車両に乗せられると下りて階段の所へ行った時にはみんな階段
を下りてしまい、次の乗客が来るまで30分待つなどということもあったそうだ。そんなある日、
名鉄新名古屋駅の駅員からあなたは利用しないでくれと言われ、通学定期券が売ってもらえな
かったという「事件」が起きた。売ったのは駅員の間違いなので返してくれと言われたのだ。猛烈
な抗議の末、定期は売ってくれたが介助はできないの一点張りだったというのだ。最近になって
辻さんの取り組みが功を奏してエレベーターがやっとついたが、辻さんは、障害当事者がどんど
ん出ていって声を上げ社会を変えていくことが必要だと力強く話された。

最後の発言は、三重県からきた大学生の森本おりえさん。幼少期は私立の保育園で健常の
子供と一緒に育ったので、その後も地域の学校に行けると思っていたが、小学校は盲学校に
行くように指導された。盲学校で必要な教育を受けた後でも転校できるといわれ、親も点字を
覚えてからでもいいと思ったのでとりあえず盲学校に通い始めた。盲学校では学年に生徒は
ひとりで、家庭教師の学校版で四六時中先生の監視がある状態だった。そのうちストレスで自傷
行為を始めた。その後交流学習を始めたが、特別な子ということで見られ、交流というがあくまでも
お客さんの立場にしかならず、交流学習はかえって差別の助長になるのではと話された。その後
交流日以外の自主登校を始め、中学は地域の学校に通ったが、点字の教科書の保障はされず、
教科書を点字化する膨大な作業を40から50人のボランティアをお願いした。中2から行政も補助
を出すようになったが、これは本当の平等ではない。自分の経験から思うとき、昔から福祉は進んだ
という人がいるけれど、統合教育ということでいうとなかなか進んでいない、一緒に声を出していき
ましょう、と締めくくった。

そしてスウェーデンからのゲスト、大滝さんのお話。彼は25年も前にスウェーデンに渡り、今は
音楽療法の仕事をしている。大滝さんは、日本とスウェーデンの違いを具体的にいくつか話して
くれた。スウェーデンも25年前は職員は白衣を着て、木靴をはいていてという施設があたりまえ
だったそうだ。その施設を20年かけて順次解体し、3年前にスウェーデンは施設全廃したという。
そんなスウェーデンと日本の違いについて具体例を通して話していただいた。

まず、当事者とか本人とかいう言葉は日本語だけにしかないのではないかという興味深い話。
つまりスウェーデン語では個人しかない。当事者という言い方をすれば、みんなの問題ということに
にならないというのだ。僕らの問題彼らの問題という構造になってしまう。スウェーデンでは、みんな
死ぬ、みんな高齢者になる、一つや二つ障害を持つ。それは「彼らの」問題ではなく、自分の問題、
それぞれの問題という理解が徹底している。だから当事者という概念がないのだという。また、
スウェーデンでは、知的障害とか自閉症と脳性まひとか、生まれた時からの障害はリハビリでは
治療できないと考える。それはリハビリではなく、ハビリテーションと考える。つまりできないことを
支援する、支援すべき範囲を広げていくというハビリテーションの考えである。この考えがないと
ノーマライゼーションという考えは出てこなかった。立場の違いの中で互換性のある理念として
ノーマライゼーション、ハビリテーションという言葉がある。この2点の話だけでも日本との考え方の
違いを考えさせるもので貴重な話だった。


 最後にDPI日本会議事務局長の尾上浩二さんも交えてのディスカッションをおこなって充実した
内容の集会を終えました。

障害をもつ者にとって差別的な状況は依然として残っているという現実を参加者はよく認識できた
と思います。障害者の自己責任・自己選択というもっともらしい言い方が広まる中で、この差別の
実態が見えにくくなるのではないかと私は考えています。だからこの集会で発言された内容は貴重な
ものでした。大滝さんの「当事者」概念の転換は非常に重要な指摘でした。今後の障害者運動の
大きな課題であると思います。

 さて、来年4月には支援費制度が始まりますが、今のままでは決して障害者の選択を保障する制度
にはならないのは明らかです。つまり、選択を保障するだけのサービスの整備がされていないから
です。無い袖は振れないというわけです。今後各自治体でサービス基盤の整備が最重要課題となって
きます。12月に策定される新障害者プランへの働きかけが重要です。そして支援費制度は必要とする
人の要求が基本となるので、多くの障害者が自分にとって必要なことをはっきり言えるようにすることが
必要で、そのことを支える取り組みが重要です。今回の集会の内容は今後の取り組みにいい方向性を
示してくれたと思っています。

 最後にご案内です。大滝さんがこの秋来日されます。日本の福祉制度の中で、障害者をいつまでも
家族に縛り付けるという大きな課題、つまり「扶養義務」の問題について集会を開くためです。障害者
の要求と言いつつ実は親の要求であるということは日常茶飯事です。本当の意味で障害者本人の
ニーズというものを確立する意味でも扶養義務の問題は大きな課題となっています。名古屋でも
11月9日に集会を開催予定です。6月の集会の実行委員会で準備していますので詳細が決まれば
お知らせします。ぜひご参加ください。
 




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